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GeForce NOWの遅延を検証。クラウドゲーミングは実用に足るか?

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サーバー側でゲームを実行し、クライアントへ画面をストリーミングすることにより、ネット環境さえあればどんなデバイスでもゲームができるクラウドゲーミング。
数あるクラウドゲーミングサービスの一つであるGeForce NOWが日本にも上陸した。
正式サービスが6月より予定で、利用料金は1,800円/月となっている。

GeForce NOWが他社のクラウドゲーミングサービスと大きく違うのは、自分が所有するsteamやEpic Storeのゲームがそのまま遊べる点にある。
既にこの2つのPCゲームプラットフォームを利用しているミドルゲーマー以上のユーザーが対象といったところだろう。

起動するとsteamのウインドウだけが表示されたデスクトップが現れる。起動するたびに仮想Windowsマシンのインスタンスが生成され、それをリモートで利用するという感じ
起動するとsteamのウインドウだけが表示されたデスクトップが現れる。起動するたびに仮想Windowsマシンのインスタンスが生成され、それをリモートで利用するという感じ

サーバーにはNVIDIAのGPU仮想化技術が使用されており、インターネット網のユーザー側になるべく近い位置に設置することで低遅延を実現しているらしい。
それにはネットワークインフラ企業との協力が不可欠なため、日本ではソフトバンクがこの役割を担っており、auも参加を表明している。
日本における携帯3大キャリアのうち2つが参加するということで、これは明らかに各社が推し進める5G関連事業の一環だろう。

最大の敵 遅延

もし将来クラウドゲーミングが普及すれば、サーバー上でアプリケーションを実行するという原理上、チート行為は事実上不可能となるし、1000人規模でのマルチプレイヤー等、これまで不可能だったゲーム体験が可能となるはずだ。

しかし現時点では、多くのユーザーにとっての関心はストリーミング映像の遅延にあるだろう。
ネットワークを介してボタン入力を送信し、その結果描写された画面をストリーミングによって受信するため、どうしてもそれなりの遅延(レイテンシ)が発生してしまう。
昨年11月にローンチしたGoogle Stadia(日本未上陸)の評判が振るわないのも、この遅延が要因の一つだ。

GeForce NOWは現在、クローズドβテストを実施しており、私もアカウントを入手することができたので、遅延がどの程度のものかを検証してみたいと思う。

検証

検証方法

PUBGのシステムメニューで『設定』にカーソルを合わせ、決定ボタンを押し、ボタンを離してから設定画面に遷移するまでの時間を計測する。(離した瞬間から画面遷移が開始されるため)

ボタンの入力されたタイミングを可視化するために、HTML5 Gamepad Testerを使用し、PUBGの画面と併せてOBSに同時に表示させ、120fpsで録画する。
1フレームあたり8.333…msとなるので、遷移にかかったフレーム数をカウントすればレイテンシが求められるはずだ。
これを10回繰り返した平均をその環境でのレイテンシとし、ローカル、GeForce NOW、PS Nowそれぞれの環境で実行して比較する。

右下のB0が決定ボタンの入力状況。この場合は14フレームで116.62msのレイテンシとなる。
右下のB0が決定ボタンの入力状況。この場合は14フレームで116.62msのレイテンシとなる。

検証前に行ったGoogleのスピードテストでの計測では、
有線接続がDL速度332.6Mbps、UP速度80.1Mbps、レイテンシ28ms。
Wi-FiではDL速度69.6Mbps、UP速度69.5Mbps、レイテンシ35msだった。
ネット回線は光回線の1Gbpsだ。

検証結果

  1. ローカル
  2. GeForce NOW 有線接続 画質:バランス(デフォルトの画質モード)
  3. GeForce NOW 有線接続 画質:コンペティティブ(低画質低遅延モード)
  4. GeForce NOW Wi-Fi(2.4Ghz) 画質:バランス
  5. PlayStation Now for PC 有線接続

この5つの環境でレイテンシを測定した結果が下のグラフだ。

ローカルとの差をとると次のようになる。


GeForce NOW 有線(バランス)の場合、ローカルと比べて83ms、コンペティティブでは81msの差がある。これをGeForce NOWが持つレイテンシの実測値として見ていいだろう。
Wi-Fiは2.4Ghzを使用したが、5GHz帯を使用すれば有線と同程度になると思われる。
これを大きいと見るか小さいと見るかはプレイヤーによるだろうが、思ったほど悪くはないというのが個人的な感想だ。

実際にPUBGとSEKIROをプレイしてみたが、バトロワでミリ秒単位の反射神経が求められる場面は意外と少ないし、SEKIROも早めに動くことを意識すれば弾きが可能なレベルだった。
視点操作等で遅延を感じる場面もあるが、慣れによって克服できるレベルだ。

しかし、素早い反応が求められる格ゲーやCS:GOのような対人FPS、精密なマウス操作が必要なMOBA等で勝つのは厳しいかもしれない。

利用シーンと利用価値

このサービスを利用するとしたら想定されるシーンは

  • 外出先でモバイル端末を使ってプレイ
  • メインPCでの作業中にサブPCでプレイ
  • LANパーティーには軽量なノートPCを持ち込めば済む

こんなところだろうか。正直あまり思いつかない。

画質がバランスモードの場合、1時間に約10GBのデータ転送量とのことなので、モバイル通信ではあっという間に通信制限がかかってしまうだろう。最低限、安定した高速なWi-Fiが必須だ。
もし世界中に5G通信が張り巡らされ、湯水のようにデータ量を使える未来が来れば別だが。

ゲーミングPCを持っていないユーザーが、要求スペックの高いゲームをプレイするためにわざわざ月額1,800円を払って本サービスでプレイする、というようなことも考えづらい。
既存steamやEpicのライブラリがそのまま遊べるのは画期的なことだが、今のところはApple ArcadeやStadiaのようにデバイス間でのシームレスな連携があるわけでもないので、ヘビーゲーマーにとってもニッチなサービスであることは間違いない。

しかしクラウドゲーミング自体がまだ黎明期であり、多くのサービスがまだ日本では利用できない中で、NVIDIAとソフトバンクがサービスを開始してくれたのは嬉しいことだ。
事前登録者は半年間半額の980円になるとのことなので、しばらく利用して利用価値を探ってみたいと思う。

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crane
書いたのは
crane
持ち前の童貞力を生かしてコンテンツの可能性を模索するVRゲーマー。2019年に肉体のバーチャル化を果たした。